5つのケースから学ぶ!サンクスカード定着のポイント
社内コミュニケーションの活性化や、企業理念や行動指針の浸透などの目的で、サンクスカードの利用を始めてみたものの、サンクスカードの利用が定着しないという声をよく耳にします。
サンクスカードの利用を開始するまでには社内調整や社員への説明など、様々な作業や苦労があったかと思います。
せっかく利用を開始することができたと思ったら、サンクスカードの利用がなかなか社内で定着せず、当然、期待していたような効果も得ることができず、心苦しい思いをしている方もいるのではないでしょうか。
サンクスカードの利用を定着させるには、いくつか抑えるポイントがあります。
今回は、サンクスカードが上手く定着しない具体的なケースから、「原因と対策」について考えてみたいと思います。
尚、これから挙げるケースについては、仮想のケースとなります。
実際には会社ごとの企業理念や組織風土、就労環境などにより、必ずしも当てはまらない部分もあるかと思いますが、自身の会社と照らし合わせて読んでいただくことで、何かしらのヒントになればと思っています。
1つ目のケースとしては、サンクスカードを導入することが目的になってしまうケースです。
社内に新しいシステムや仕組みを導入する際にもよくある話ですが、当初の導入目的から、導入すること(利用が開始されること)が目的に変わってしまうケースです。
社内でサンクスカードの導入や活用を考えた背景には、サンクスカードを使い解決したい社内の課題があり、その課題を解決することを「目的」としてサンクスカードの利用を検討をされたと思います。
社内で承認を得るまでは目的や導入効果を意識しながらサンクスカードの導入に向けた作業を開始するかと思います。
しかし、社内でサンクスカードの導入が決まった後は、サンクスカードのデザインや運用ルール、社員へのアナウンスなど、サンクスカードの利用を開始するまでの準備に時間を割くことになります。
計画した導入スケジュールに間に合うように作業を進めていると、段々と「予定通りサンクスカードの利用を開始させないといけない。」と計画通りの進行に意識が向いてしまうことがあります。
サンクスカードの導入を社内プロジェクトとして特別チームを立ち上げて作業している場合には、尚更その意識は強くなるでしょう。
導入作業を進める関係者の中で、当初描いていた導入目的の意識が薄れてしまうと、サンクスカードを実際に利用する社員の方にも、導入目的が正しく伝わらないことになってしまい、期待する利用まで至らないことが考えられます。
サンクスカードの導入作業 では当初の「目的」を意識しながら作業を進めることが大切になります。
2つ目のケースは「サンクスカードを導入したので、皆さん自由にサンクスカードを使ってください!」とアナウンスをして開始するケースです。
など、サンクスカードを使って改善したい目的があるものの、サンクスカードの利用を社員の自主性に任せて運用するケースを考えてみます。
サンクスカードを自由に使っていいと言われた場合、会社からの指示や制約もなく、社員みんなが伸び伸びとサンクスカードを利用するイメージを持つ場合もあるかと思います。
しかし、サンクスカードを贈ることを自由にするということは、サンクスカードを使わないことも自由ということです。
サンクスカードの導入当初は、興味本位や試しにサンクスカードを贈る社員もいますが、サンクスカードの利用が自由となると、時間が経つにつれ、段々と使われなくなることが考えられます。
通常の業務で忙しい中、使っても使わなくてもどちらでもよいサンクスードを送ることに、意識が向く機会は減っていくことでしょう。
その為、サンクスカードを使い始める際には、利用目的や最低限のルールを決めた上で、使い始めることが大切になります。
3つ目のケースは「サンクスカードを使ってこんな会社にしたいんだ!」と、会社のイメージを社員に伝えてサンクスカードを利用するケースです。
サンクスカードを使う目的は、ケース2のように、社内コミュニケーションの活性化や、企業理念の浸透など、何か目的があり使い始めることになります。
サンクスカードを社内に周知する際、以下の説明を社員したとします。
「今回サンクスカードを会社として使い始めることにしました。サンクスカードを使ってコミュニケーション機会を増やし、社内の雰囲気を改善したいと考えています。ぜひみなさん積極的に使ってください。」
よくありそうなアナウンスに見えますが、この場合にもサンクスカードの活用が上手くいかないことが想定されます。
ケース1とケース2に比べ「サンクスカードを使う目的」は明確になっていますが、このケースで足りないのは「手段(ルール)」です。
サンクスカードを使う目的は理解できると思いますが、実際にサンクスカードをどのように使ってよいかの部分が不明瞭な状態です。
この場合、会社からのアナウンスを聞いた社員はそれぞれ様々な考え方や受け止め方をしますので、全員が同じ認識でサンクスカードを使うことは難しいといえます。
そのため、サンクスカードに興味を持ってくれる社員がいても、具体的な使い方が曖昧だと、サンクスカードの利用に躊躇してしまい、結局あまり利用されないままとなってしまうことが考えられます。
サンクスカード始める際には、使い方やルールをしっかりと決めて、社員に周知することがとても大切になります。
4つ目のケースとしては、サンクスカードを使っても使わなくても変わらないケースです。
今までのケースで紹介した、サンクスカードの利用目的や使い方、運用ルールは社員に周知されているが、それでもサンクスカードが浸透しないケースとなります。
この場合、サンクスカードを誰かに贈ったり、サンクカードを誰かにもらっても、それ以上の目に見える良いことがない場合によく起こるケースです。
社員同士がお互に賞賛や感謝の気持ちをサンクスカードを使って贈り合い続けることで、サンクスカードが定着するとそれが会社の文化として根付き、サンクスカードが無くなったとしてもお互いを褒め合う社風のようなものは生まれてくるものです。
しかし、サンクスカードを使い始める初期のタイミングでは、サンクスカードを使うきっかけや興味を持って取り組みやすい仕組みがあることが、とても大切になります。
例えば、サンクスカードをたくさんもらった人や贈った人を表彰する、サンクスカードの内容をピックアップして全社に公開するなど、サンクスカードの取り組みに参加することで、目に見えるフィードバックがあると、より積極的にサンクスカードを使う意識が向上すると思います。
5つ目のケースはサンクスカードの取り組みだけに注力してしまうケースです。
サンクスカードは社内コミュニケーションの活性化や、企業理念を浸透させるツールとして有効ですが、サンクスカードはあくまでツールの1つであるということを認識することが大切です。
例えば、社内の良い行動を褒め合う文化を作りたいと思いサンクスカードを導入したとします。
その場合、サンクスカードの導入に加えて、良い行動(行動指針)を記載したカードを社員に渡し、理解してもらうことで、良い行動に目を向ける機会が増えますし、会社が求める行動指針に沿った行動を心掛けてくれる社員も増えることでしょう。
また、組織の垣根を超えてコミュニケーションを活性化させたい場合には、社員の簡単なプロフィールを公開し、お互いのプロフィールを検索できるようにすることで、話す機会やきっかけを増やすことも考えられます。
サンクスカードで解決したい課題や達成したい目的には、サンクスカード以外の方法や施策を組み合わせることで、結果としてサンクスカードの活用も浸透していくものとなります。
今回は5つのケースを元に、サンクスカード定着のポイントを説明しました。
と、ネガティブに捉える方もいるかもしれませんが、世の中にはサンクスカードを上手く活用している会社はたくさんあります。
しかし、現在サンクスカードを活用されている会社も、導入当初からすぐに思った通りの運用ができた会社ばかりではないと思います。
サンクスカードの導入を通して、会社の考え方、社員の考え方、会社に対する社員の想いなど、色々な側面が見えてくることでしょう。
サンクスカードを導入したが、なかなか定着しない場合、そこには会社と社員の想いにギャップがあったり、会社と社員のベクトルが合っていないなど、会社が抱えている課題に気づくきっかけになる場合もあります。
そうした課題に気づき、その課題を1つ1つ解決していくことで、サンクスカードを利用する目的を達成することにつながっていくものだと思います。